部下を対象としたパワハラ研修
先日、長崎県大村市の職員向けにパワーハラスメント予防研修を実施しました。
今回の対象者は、勤続3~5年目の職員です。受講人数は120名。
午前、午後の2回に分けておこないました。
3年前までは、管理職を対象としたパワハラ研修を行っていましたが、
一昨年より部下向けのハラスメント研修も始めております。
なぜ部下にもパワハラ研修を行うのか
部下の方たちに「パワハラ」という言葉を聞いて、何をイメージしますか?と質問をすると、
「叱られる」
「怒鳴られる」
「無理な業務を押し付けられる」
「残業、休日労働を命じられる」
といった答えが出てきます。
これが今の部下たちがイメージしている「パワハラ」です。
部下に対して、叱ったり、怒鳴ったりしただけでは、すぐに「パワハラ」とはなりません。
指導をしながらも人格を傷つけたり、執拗に叱責するような行為が「パワハラ」となります。
しかし、毎日のように「パワハラ」について報道されていると、一人一人が勝手なイメージで、「パワハラ」を認識してしまっているのです。
つまり正しい知識が身についていない。
正しい知識が身についていないと、上司が叱っただけで、「それってパワハラですよね?」ということが起きてしまいます。
この場合、叱っただけでは「パワハラ」にはなりません。
しかし上司と部下の間でコミュニケーショントラブルには発展するでしょう。
そのようなコミュニケーショントラブルが起こらないために、部下に対しても「パワハラ研修」を実施しています。
部下を対象としたパワハラ研修
研修の一番の目的は「部下にも正しい知識を身に付けてもらう」ためです。
管理職も部下も「どこまでが指導で、どこからがパワハラなのか」共通のものさしを持つことで、
「それってパワハラですよね?」という間違った認識とコミュニケーショントラブルを防止することができます。
またパワハラというと、上司や管理職が加害者、部下が被害者というイメージを持たれることが多いですが、必ずしもそうではありません。
集団で個人を無視したりすれば、同僚同士のパワハラもありますし、
部下のほうが専門知識や技術力があるような場合、
上司を馬鹿にしたり、命令を無視する行為もパワハラに該当します。
つまり「部下の立場でも加害者になることもある」ということを知ってもらうことも研修の目的の一つとしています。
研修の内容
●最初にパワハラのイメージを書き出してもらう
●上司が部下に「叱る」「怒鳴る」指導の動画を視聴
(実は「業務上指導の範囲であり、パワハラに該当しない事例の動画」を見せているが、そのことはあらかじめ伝えていない。)
●動画視聴後、パワハラと思われる言動を挙げてもらう
●パワハラと思われる言動を挙げてもらったあとに、視聴した動画は「パワハラに該当しない事例」であることを伝える
●「パワハラに該当する動画」を視聴(人格否定、役割否定、精神的に追い詰める内容)
●パワハラの定義やパワハラの正しい内容を説明する
最初に書き出してもらった「パワハラ」のイメージと「パワハラの正しい知識」を学んだあとの
ギャップを感じてもらうことで、学びが深まります。
終わりに
部下向けの「パワハラ研修」を実施しようと思ったきっかけがあります。
ある企業の管理職の方がこのような話をしていました。
管理職
「最近じゃ、部下を叱るとパワハラだって言われちゃうでしょ?
だからダラダラ働いている部下がいても叱ることができないんだよね。」
私
「いやいや、ダラダラ働いていたら指導しないと、部下はその仕事の仕方で良いと思っちゃいますよ。叱ることイコールパワハラではないですよ。」
管理職
「でも一度部下を叱ったら、陰でパワハラだって言われていたのを耳にしたからさ・・・」
このようなことが職場で起こっていたら、一度部下向けのパワハラ研修も検討してみてください。
投稿者プロフィール
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「企業はヒトが作る」
「人材の定着には組織風土の活性化は欠かせない」
そして
「楽しく仕事をする人材が増えれば、会社の業績は伸び、離職率は低下する」
という考えから、「楽しみながらきちんと学べる」ユニークな社内研修を実施。その内容からリピートが多いのも特徴。
役所、民間企業で多くの研修実績あり。
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